日常生活で欠かせない砂糖ですが、スーパーではたくさんの種類の砂糖が売られています。
その中で茶色い色をしたてんさい糖を見かけますが、てんさい糖ってどんなお砂糖でしょうか?
てんさい糖は植物性の砂糖ですが、危険性なども気になると思います。
この記事ではてんさい糖の原料や特徴、危険性はないのか等を紹介していきます。
茶色いお砂糖ってなんだか健康にもよさそうだけど、どうなんだろう?
てんさい糖の特徴や体への影響、作り方など、ほかのお砂糖と比べながらみていきましょう!
てんさい糖とは?
てんさい糖の原料は、ヒユ科アカザ亜科の二年草である甜菜です。
元々はドイツで生産されており、今ではヨーロッパを中心に栽培されています。
日本国内では北海道のみで作られています。
別名「サトウダイコン」と呼ばれていますが、大根とは別物であり、生で食べることはありません。
てんさい糖の特徴
やさしい甘さとコクが特徴のてんさい糖ですが、ミネラルが豊富でオリゴ糖を含んでいます。
このてんさい糖に含まれるオリゴ糖はビフィズス菌の栄養となり、整腸作用があります。
また他の砂糖よりGI値が低く、血糖値の上昇がゆるやかなのも特徴です。
砂糖といえば、二大原料としてサトウキビと甜菜が使われています。
きびアレルギーを持っているとサトウキビが摂取できませんので、きびアレルギーの代用としててんさい糖を使うこともできます。
てんさい糖の作り方
甜菜は、光合成で作った糖分を根に蓄えていきます。
そして、その根からてんさい糖を抽出していきます。
てんさい糖ができるまで
(ア)収穫したてん菜を小さく切り刻み、温水に入れて糖分を取り出します。
(イ)石灰乳を加え、炭酸ガスを吹き込んで、生成する炭酸カルシウムに不純物を取り込み、沈殿させます*。
(ウ)沈殿物をろ過して取り除きます。
(エ)糖液をイオン交換樹脂に通し、糖液中の色素など残りの不純物を吸着させて取り除きます※。
(オ)糖液を真空結晶缶の中で濃縮し、結晶を作ります。
(カ)遠心分離器にかけて結晶と糖液の混合物から結晶を取り出します。
引用: 農畜産業振興機構ホームページ
そして
(イ)の過程で沈殿してできた砂糖を黒糖
(オ)の過程で結晶化した砂糖を和三盆
(カ)の分離する作業にて糖液となったものがてんさい糖、結晶となったものが上白糖やグラニュー糖になります。
その他の砂糖についても知りたい方はぜひこちらを参考にしていてくださいね!
[kanren id=”787″]
てんさい糖は危険なの?
てんさい糖は自然由来の砂糖ですが、危険性を心配する声もあります。
てんさい糖は危険だと聞いたことがあるけど、その理由は何?
てんさい糖が危険だとする原因をみていきましょう!
農薬がたくさん使われている?
てんさい糖の原料となる甜菜はとても糖分が多い植物です。
そのため、栽培中に虫がつきやすいという問題があります。
ですので、甜菜の栽培には農薬が多く使われています。
この農薬の量を危惧するみかたがあります。
遺伝子組み換えが使われている?
糖分の多い甜菜を虫などから守るために、遺伝子組み換えを使っているのではないかといわれています。
遺伝子組み換えを使っているのかどうかは、商品には記載義務がないため、消費者はなかなか知ることができません。
ですが、日本国内では遺伝子組み換えのものを栽培することは禁止されています。
遺伝子組み換えを使っていない旨を表記しているもの、国内栽培のものを購入する分には心配ないでしょう。
精製された砂糖である
上白糖やグラニュー糖のような白い砂糖と比べ、てんさい糖は茶色い色がついています。
茶色いお砂糖というと、黒糖やきび糖のように体にいいのではないかと想像する方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、てんさい糖は上白糖やグラニュー糖のように精製された砂糖です。
茶色い色は精製される過程で、煮詰めた時に出る灰汁なのです。
- 酸性の食品であるため、歯や骨を溶かす
- ビタミンB1不足になり、過労、貧血、うつ病などの発症、イライラの原因となる。
- 糖質依存症になる。
てんさい糖はオリゴ糖をふくみ、整腸作用があり、ミネラルが含まれるなどの効用がある砂糖です。
糖分はどの種類であっても摂りすぎず、うまく使っていきたいですね。
オリゴ糖とは?
てんさいにはオリゴ糖が含まれていますが、体にどのような影響を与えるのでしょうか?
オリゴ糖にはいくつかの種類があり、それぞれ含まれている原料が異なります。
種類 | 原料 | 作用 | |
オリゴ糖 | ショ糖 | サトウキビ、甜菜など | エネルギー源 |
フラクト
オリゴ糖 |
玉ねぎ、ごぼう
アスパラガス |
整腸効果 | |
ガラクト
オリゴ糖 |
母乳中 | 整腸効果 | |
ラフィノース | 豆類、甜菜 | 整腸効果 |
てんさい糖に含まれているオリゴ糖は、ショ糖とラフィノースというオリゴ糖です。
ショ糖はエネルギー源になりますが、ラフィノースは整腸作用があるオリゴ糖です。
ラフィノースにはたくさん良い作用があります。
- 整腸作用において特定保健用食品として承認済。
- アトピー性皮膚炎の改善効果がある。平成10年9月 日本小児アレルギー学会にて臨床結果を発表。
- 乳児の緑便改善効果があり、粉ミルクメーカーでも採用されている。
ラフィノースが摂取できる食品は少なく、てんさい糖を代用として使うメリットのひとつがこのオリゴ糖なのです。
てんさい糖・オリゴ糖・はちみつ赤ちゃんは危険でダメ?
乳児の粉ミルクには、てんさい糖が含むオリゴ糖であるラフィノースを使用しているメーカーもあります。
それでは、てんさい糖やオリゴ糖、はちみつは赤ちゃんにとって危険なのでしょうか。
オリゴ糖は赤ちゃんの便秘改善にも役立っており、赤ちゃん用のオリゴ糖も販売されています。
オリゴ糖に関しては、赤ちゃんが摂取しても問題ありませんが、赤ちゃんにオリゴ糖を与える際は、主治医に相談するのが良いでしょう。
「はちみつ」はと言うと、赤ちゃんには厳禁と聞いたことがあるのではないでしょうか?
それは、はちみつの中に、赤ちゃんが発症するボツリヌス症の原因となるボツリヌス菌が入っているからです。
ではてんさい糖は赤ちゃんにとって安全でしょうか?
公的機関や企業は「赤ちゃんがてんさい糖を摂取するにあたり」次のような見解を示しています。
「砂糖で乳児ボツリヌス症になったという報告がないので、規制は設けていない。」
参考:厚生労働省食品安全課
「黒糖・てんさい糖・きび糖の砂糖の分類において日本で乳児ボツリヌス症を発祥した例はないが、リスクがあるなら避けるべき。」
参考:東京都福祉保健局安全部食品監視課
乳児ボツリヌス症に関しましては、昭和62年10月20日付で厚生省(現在の厚生労働省)より「乳児ボツリヌス症の予防対策について」の通達が各都道府県に出されており、その中で「一歳未満の乳児に蜂蜜を与えないよう指導すること」 とありますように、蜂蜜にはボツリヌス症を発症するボツリヌス菌の生存リスクが確認されておりますが、弊会製品につきましてはそのような通達が出されておらず過去に弊会製品を原因としてボツリヌス症の発症事例は確認されておりません。
引用:「ホクレン What’s new」ホームページ
このように、はちみつには赤ちゃんが摂取してはいけないボツリヌス菌が入っていますが、日本ではてんさい糖においては、ボツリヌス菌は検出されていません。
しかし、世界的にみると可能性はゼロではないですので、赤ちゃんには気を付けて使いたいですね。
てんさい糖は自然由来の砂糖であり、ミネラルやオリゴ糖を含みます。
砂糖として日常で使うにあたりメリットも多くありますが、てんさい糖は精製された砂糖です。
悪い影響や危険性もゼロではありませんので、てんさい糖の特徴を知って、かしこく使用しましょう。
てんさい糖はほかの砂糖より栄養価が高いので、デメリットに気を付ければ普段の砂糖として使いやすい砂糖ですね!